モルトウィスキーのできるまで
1.精麦 モルティング 原料になる大麦はデンプン質の多い二条麦を使います。そのデンプンを糖に変えるために、まず発芽を促すために水に2日ほど漬けておきます。この時に発生する酵素がデンプンを糖に変化させます。その後、発芽が均一になるようフロアモルティングという、広いコンクリート床の上に広げ撹拌を繰り返します。一定の大きさまで発芽したら発芽を止めるために、キルンというかまどで下からピート(泥炭)を燃やして麦を乾燥させるわけです。その際にスコットランドウィスキー独特の香りが付きます。
2.糖化 マッシング 乾燥させた麦は、ゴミなどを取り除いたあと粉砕され、マッシュタンという器に移されます。65度ほどの熱湯を加え撹拌することで発酵に必要な糖液(ワート)を絞り出します。
3.発酵 ファーメンティション ワートは冷却装置によって20度ほどに冷却され、イースト菌を加えられた後、ウォッシュバッグという巨大な樽に移されます。発酵は通 常2〜3日で終了し、その時点ではアルコール度数6〜8%のもろみ(ウォッシュ)となります。
4.蒸留 ディスティレーション モルトウィスキーのウォッシュは通常銅製の単式蒸留釜によって蒸留されますが、単式蒸留釜(ポットスチル)は蒸留所によってその形はさまざまです。 スコットランドでは一部の例外を除いてほとんど2回蒸留を行います。1回目をウォッシュスチル。2回目スピリッツスチル、またはローワインスチルと呼びます。 蒸留は水とアルコールの沸点の違いを利用して、80度ほどで気化するアルコールを抽出する方法です。1度目の蒸留でアルコール度数は約3倍になりますから、蒸留されたものはアルコール度数約20度のローワイン(蒸留酒)と呼ばれます。さらにもう一度再留釜によって蒸留されますが、蒸留された気体が冷却コンデンサーを通 る際に液化したアルコールを3つにされます。そこがスピリッツセイフという装置で、液化アルコールの最初の部分をフォアショッツ。中間をミドルカット。最後の部分をフェインツという風に分類し、ミドルカットの部分だけを熟成に回します。残りの部分は再度ローワインと混ぜられ再度蒸留されます。
5.熟成 マチュレーション 2回の蒸留が済んだ無色透明で「ブリティッシュファインスピリッツ」あるいは「ニューポット」と呼ばれます。この状態ではアルコール度数が70度くらいあるので加水して63度前後に落としてから樽につめます。 樽は樫やナラ樫などのオーク材が主流であるが、酒の特色を付けるためにシェリー樽、バーボン樽、再利用、再々利用の樽などが使われています。 樽詰めされた酒はウェアハウスという保税倉庫で眠りにつきますが、実は蒸留釜から液体アルコールとして出てきた時点から課税対象となっています。そのため、蒸留の項で説明したスピリッツセイフの呼称もセイフ(金庫)となっている訳です。 短くて3年。一般的に10年。長いもので50年の時を経て熟成されたウィスキーは、まずすべての樽をミックスし、平均50度〜あるアルコール度数を水によって43度ないし40度に下げられた上で瓶づめされる。